ビザ(査証)って何?

私たちがフィリピンやベトナム、ハワイなどに海外旅行する場合、旅行会社などで飛行機のチケットと渡航先でのホテルなどの予約をしてチケットとパスポートを持って空港へ行って渡航しますよね。

その際、ビザ(査証)なんて取った事ないでしょ?

一般的に日本国籍者が観光目的で海外に入国する場合には、査証免除措置により多くの国ではビザの発給が免除されているから、多くの日本人はビザ(査証)を取得した経験がある人が多くないので、ビザ(査証)は日本人にとってなじみが薄いのです。

でも、仕事や結婚で海外に長期滞在目的に行く場合には、私達日本人もその渡航先の国のビザを取得しなければなりません。

それと同じく、査証免除措置によりビザ(査証)が免除されている国や地域(査証相互免除措置実施国・地域)の者が、就労を除いた観光等の「短期滞在」の目的で日本に来る場合は、ビザ(査証)を取得することなく日本に上陸許可申請を行う事が出来ます。

「就労を除いた観光等の短期滞在の目的」で日本に来る場合はビザ(査証)が不要なわけですから、就労が目的(日本で働いてお金を稼ぐ事が目的)の外国人労働者はビザ(査証)が必要になる訳です。

ビザ(査証)とは、海外にある日本大使館や領事館が外国人の渡航目的やパスポートの有効性などをチェックして「日本への入国は問題ない」と判断した場合に押印される推薦状(通行手形)の役割を果たすものです。

外務省から法務省にあてた、当該外国人労働者に在留資格を付与するため理由や根拠が書いてある推薦状です。

よって、外国人労働者は日本に働きに来るためには、パスポートとビザ(査証)の両方を取得しなければなりません。

外国人労働者は日本にやってくるまでが一苦労

一部の例外を除き入管法では有効なビザ(査証)の所持が日本への上陸申請要件となっている為、入国にあたりビザ(査証)は原則として必要なものですが、ビザ(査証)があれば必ず日本への入国が許可されるわけではありません。

最終的に日本への入国を許可できるかは日本の空港や港で行われる入国審査時に入国審査官が決定することになります。入国審査官はパスポートに添付されたビザ(査証)を確認し、入国を許可するのであればビザ(査証)に見合った在留資格を付与して外国人労働者を入国させます。

その時点で外国人労働者が持ってきたビザ(査証)は使用済みとなり、入国時に与えられた在留資格(在留カード)が入国後の外国人労働者が日本に在留する根拠となります。

外国人労働者は日本で仕事をするために、母国現地でのビザ(査証)発給と母国出国時の審査、そして日本への入国時の審査の3回の審査を受けてパスしてきた人がやっと働けるようになるという事です。

外国人労働者の一般的な入国までの手順

ビザ(査証)の申請準備は専門家に依頼したほうが良い

さて、あなたが中小企業の経営者で外国人労働者を海外から呼び寄せて自社で働いてもらいたいと思ったとしましょう。上記の審査を外国人労働者がパスしてくるためのビザ(査証)を発給してもらう事がスタートですね。

その為に、通常は「在留資格認定証明書」というのを、外国労働者を雇用したいと思っているあなたが出入国在留管理局へ申請を出して、「この会社(あなたの会社の事)」で、「この仕事の内容」なら問題はないだろうという審査を受けて発行してもらった在留資格認定証明書を海外にいる外国人労働者へ送って、当該外国人労働者がその国にある日本大使館・領事館へビザ(査証)の申請をしに行く事になります。

これって大変ですよね!
しかも、「在留資格認定証明書」って何なんだ????

って感じじゃないですか(笑)

だから、外国人を雇用したい場合は、専門家に依頼したほうがいいと「外国人就労支援・雇用支援」のページでも説明しましたが、特に、このビザ(査証)に関しては出入国管理局申請取次行政書士に依頼したほうが安全です。

今の状況だと海外から呼び寄せるのはリスクがあるからなぁ~~

とお考えの経営者の方もいらっしゃるでしょう。おっしゃる通りですね。

それでも、外国人労働者を自社の戦力として、人手不足解消の手段として採用していきたい!!  という気持ちもあるのではないでしょうか?

そのような場合は、すでに日本に居る(在留している)外国人労働者の力を借りましょう!

少し古い情報ですが、出入国在留管理庁は2020年6月末時点で日本に在留している外国人の数が288万5904人だったと発表しました。この数は駐在員や留学生ら中長期の日本滞在者を示しており、3カ月以下の観光客や出張者ら短期滞在者は含まれていません。

今の日本には約290万人の外国人が住んでいるんです。この人達は、すでに日本に居る訳ですから海外から呼び寄せるような時間と手間は掛かりません。
(一部、例外はありますが)

では、あなたはこの290万人いる外国人の中から、自社の戦力として、人手不足解消の手段として採用する人材を選びたいと思いますよね。なんだか、光が見えてきた感じがしますね!

日本にすでに居る(在留している)外国人は、何らかの在留資格を有しています。その在留資格には、仕事が出来る・仕事が出来ないという制約と出来る仕事の範囲(業務内容や勤務先なども含む)が決められています。

その決められている内容を確認して、あなたの会社で働けるように在留資格の変更をする必要が出てきます。この変更申請も雇用主であるあなたがやってもいいですが、やはり、”餅は餅やへ” ではないですが、プロに任せた方が無難です。

例えば、留学生として日本に来ている外国人の在留資格は「留学」となっていて、この「留学」の在留資格では仕事をしてはダメという法律になっています。その、留学生が学校を卒業してあなたの会社に就職したい場合は、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更しなければ、あなたの会社で働く事が出来ません。

その変更をせずに留学生が学校を卒業したからと言って勝手にあなたが採用して働かせてしまったら、外国人労働者本人と雇用主であるあなたは不法就労助長罪で3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科されてしまいます。

では、留学生ではなく、あなたの会社と同じ業界すでに働いている外国人を転職させてあなたの会社で働かせるケースはどうなんでしょうか?

すでに働いている外国人なんだから在留資格上問題はないだろう。。。。

と思いがちですよね。でもこの場合にも注意が必要です。

例えば、技能実習で日本に来ている外国人労働者の在留資格は「技能実習」という資格です。この技能実習という在留資格は3年間は転職が出来ないんです。
(そもそも論ですが、技能実習は人手不足解消の労働力として働かせてはダメという基本ルールが存在しています)
ですから、技能実習の外国人労働者を他社から転職させるという採用はできません。

では、他の在留資格なら大丈夫かも????

仕事ができる在留資格でも注意が必要

「技能実習」以外の在留資格で、あなたの会社で採用できる外国人労働者の在留資格には、 「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」の2種類がいいでしょう。
(定住者や永住者などの在留資格でも採用できますが詳細説明はここでは省きます)

技能実習が3年間修了した外国人労働者は母国に戻って母国で習得した技術を活かして商売をしていくのが多いですが、技能実習3年間の経験を活かして「特定技能」という在留資格に変更をして日本で働き続けるという方法もあります。

または、そもそも「特定技能」の在留資格を有している外国人労働者をヘッドハントしてきたり、何らかの事情で転職せざる得なくなってしまった「特定技能」の在留資格の外国人労働者ならあなたの会社へ転職が可能です。

この場合の在留資格は「特定技能」のままですが、「特定技能」という在留資格は最初に申請した会社に紐づいて資格が認められているため、勤務先が変わる場合も「特定技能」から「特定技能」へ変更申請が必要なります。

続いて、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を有している外国人労働者の場合はどうかと言いますと、特定技能と同じくあくまで前職の会社で働くことが認められた資格なので、同じ職種だとしてもあなたの会社で働くためには在留資格の変更申請が必要になります。

*上記の在留資格についての内容やその制限内容などは別の機会に詳しくご紹介いたしますので、この場では大枠での説明にしておきます。

上記の説明の通り、日本国内にすでに居る(在留している)外国人労働者を採用する場合でも「在留資格の変更申請」は必ず必要になってきます。