飲食業で外国人労働者が活躍できる場は?

深刻な人手不足が続く飲食業界では外国人労働者の活用は非常に大きなテーマです。飲食業・飲食店で外国人労働者が活躍できる業務といいますと、代表的な業務は料理人でしょう。もちろん、ホールスタッフとしても外国労働者を雇用できますが、ビザによる制限等があります。

料理人として外国人労働者を雇用

飲食業・飲食店の調理スタッフとして、専門的な知識や熟練した経験を有する料理人を雇用する事は可能です。この場合は、以前、「製造小売業におけるパティシエ」でもご説明しました、「技能」というビザを取得した外国人労働者を雇用することになります。

ただし、「技能」ビザで外国人労働者を雇用する場合は、その飲食店自体が特殊分野の料理技術を必要とする飲食店や料理を提供できるお店である必要があります。

「製造小売業におけるパティシエ」の時にも軽くご紹介しましたが、単なるケーキ職人・パティシエでは「技能ビザ」は取ることは無理でしょう。日本人では得る事が出来ない熟練された技能を有してる事などが非常に重要な条件になりますと紹介しました。

例えば、
・カジュアルなフランス料理を楽しめるレストラン
・パスタ専門のイタリアンレストラン
・四川ラーメンが美味しいラーメン店
とか、このようなお店はありますよね。気軽で、美味しくて、本格的で、リーズナブルなレストランやお店は、結構繁盛していると思います。これらのレストラン・飲食店が差別化を図るために本場フランスやイタリア・中国の料理人を雇用しようと思ったとしても、「技能ビザ」を取ることは非常に難しいかもしれません。

専門的な知識や熟練した経験が必要な料理を提供することが条件ですので、
・カジュアルなフランス料理ではなく、最高級のフランス料理フルコースを提供
・イタリア王室御用達やミシュランの星がつくような料理を提供
・中国4000年の歴史の中で皇帝が食べていたフルコースを提供
のような、特殊な分野で専門的な知識と熟練した経験が無ければ作る事が出来ない料理を提供するレストランというくらいのレベルアップが必要でしょう
(ちょっと個人的なデフォルメされた表現になってしまっていますが、、、:笑)

シンプルに表現すれば、中華ラーメン店がラーメンや餃子を料理・提供する為に中国人料理人を「技能ビザ」で雇用するのは無理という事です。

よって、「料理人」として外国人労働者を雇用したいという場合は、かなりハードルが高くなることを承知してください。

もっと簡単に雇いたいんですが、、、

そんな風に思った方も多いでしょう。堅苦しい事言わないで、よく居酒屋や街のレストラン、食堂でも外国人が働いているのを見かけるよ! 話しが違うのではないかい??

居酒屋で働く外国人

と思った人もいるでしょう。確かに、実際に街の居酒屋やレストランに目を向けると外国人が働いていますよね。それは、「技能ビザ」のプロフェッショナルを雇用しているのではなく、アルバイトとして外国人労働者を雇用しています。

留学生が生活費を稼ぐために学校が終わってから居酒屋などでアルバイトするのは、本来のビザの趣旨(留学生なんだから勉強するために日本に来ているんでしょ!仕事なんかしている暇はないでしょ!)から行きますとNGです。「留学」というビザは就労不可のビザです。

しかし、出入国在留管理局から「資格外活動許可」を得る事ができれば、週28時間以内のアルバイトはOKになります。よって、皆さんが街の居酒屋やレストランなどの飲食店で見かける外国人労働者は「資格外活動許可」を得ている留学生です。

飲食店としても、正社員雇用よりアルバイト雇用の方が人件費も安い(社会保険加入による間接人件費の削減)ですし、固定コストになりがちの人件費をシフト出勤により変動費的コストに変える事によって流動的な飲食店経営が出来ますので、アルバイトの活用は飲食店では重要な経営課題です。

そこで、飲食業・飲食店の方々がアルバイトで外国人を雇用する際に注意することもご紹介しておきましょう。

アルバイトで外国人を雇用する際の注意点

前述しましたが、留学生などの外国人をアルバイトで雇用する場合、当該外国人が出入国在留管理局から「資格外活動許可」を得る事によって、週28時間以内(夏休みなどの長期休暇中は週40時間)のアルバイトをさせる事が出来ます。

よって、留学生などの外国人をアルバイトで雇用する場合には在留カードの裏面を必ず確認してくださいね。在留カードの裏面に「資格外活動許可」のハンコが押されていればOKです。

こんな感じです↓↓↓

在留カードの裏面

「資格外活動許可欄」に
許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く

というハンコが押されていれば安心して、その外国人をアルバイトとして雇用できます。

そして、いざ、雇用したら
 ・労働時間数のオーバーに気を付ける事
 ・風俗営業等に従事させない事
は雇用主として守ってくださいね!

資格外活動許可違反で最も多いのが、労働時間数のオーバーだそうです。外国人留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、当該留学生の「週28時間」というアルバイト可能時間数のカウントは、自社でのアルバイトの時間数だけではなく掛け持ちしている他社でのアルバイト時間数も合算して「週28時間以内」という計算になります。

仮に、自社で雇った留学生が他社掛け持ちのアルバイトをしていて、結果として、週28時間以上働いていた事が発覚した場合、本人(留学生)は次回のビザ更新を行う事ができなくなりますし、雇用主であるあなたの会社・お店も罰則の対象になってしまいます。

よって、留学生をアルバイトで雇用する場合は、
・掛け持ちアルバイトをしているか?
・アルバイト時間数の都度確認をする事
等も雇用主として確認をするようにしましょう。

特定技能ビザで外国人労働者を雇用する

深刻な人手不足が続く飲食業界では外国人労働者の活用は非常に大きなテーマですと初めにお伝えしましたが、人手不足解消の為に「特定技能」というビザが2019年に新設されています。外食産業(飲食店・レストラン)において、「技能ビザ」や「留学生による資格外活動許可」などでは、従事可能な仕事の範囲や労働時間数などの制限がかかっていましたが、特定技能ビザであれば、これらの制限・制約が無く外国人労働者を雇用する事が出来ます。

特定技能ビザでの外国人労働者の従事可能な業務はシンプルに言えば「日本人とほぼ同じ」と思ってください。具体的にはレストランでの飲食物調理や接客などの業務の他、レストラン以外の飲食料提供施設での接客(喫茶店での接客など)や、宅配専門店での外国人労働者の雇用が可能になりますし、特定技能ビザが新設される前にはできなかった、飲食店でアルバイトしている留学生が卒業後にそのお店で正社員になることも可能になります。

ただし、ちょっとだけ制限があるのは事実です。「日本人とほぼ同じ」と先ほど説明しましたが、特定技能外国人が出来ない仕事というのもあります。それは、風営法規定の「接待飲食等営業」を営む営業所における就労及び、同法規定の「接待」です。

風営法第2条第4項に規定する接待飲食等営業を営む営業所においての就労と風営法第2条第3項に規定する接待です。

具体的には、風俗営業許可が必要な1号営業(キャバクラやホストクラブ)、2号営業(低照度飲食店)、3号営業(カップル喫茶などの区画席飲食店)の店舗での就労は禁止されています。また、”歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす”接待が禁止されています。

また通常のレストランや飲食店においても、どんな仕事でもOKというような感じで説明してきましたが、宅配専門店でのデリバリー業務だけや清掃だけの仕事、皿洗いだけの仕事など、一つの仕事に限定した仕事(限定労働)は特定技能ビザは取得できませんのでご注意ください。主たる業務(調理・接客・注文対応・管理業務)に付随して、デリバリー業務をしたり店内やテーブルの清掃、食器洗い、チラシ配りをするのは問題ありません。

色々な制限制約があるとはいえ、飲食業界・外食産業における人手不足は深刻であり、また、高齢社会の日本において若い世代の労働力を確保していくのは飲食業・外食業を経営していく上では非常に大きな課題であるのは間違いありません。

そのような状況の中で、正しく外国人労働者を雇用し、自社の人的戦力になってもらえるように育成・活用していくのは経営者としても重要な仕事でしょう。

>>>次回 ”介護サービス業における外国人雇用の傾向”についてご紹介いたします。

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株式会社 エアーパス(AIRPASS Co.,Ltd.)
■1号特定技能外国人登録支援機関(19登-000586)
  SSW Support Organization(Immigration Reg.#19登-000586)
■有料職業紹介(22-ユ-300633)
  Manpower Placement Agency(Reg.#22-ユ-300633)
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