介護労働市場が抱えている問題

公益財団法人介護労働安定センターによる「介護労働実態調査」では
 ・人手が足りにくい
 ・仕事内容のわりに賃金が安い
 ・有給休暇が取りにくい
というのが介護現場における労働条件等の不満TOP3だそうです(複数回答)

また、厚生労働省による介護分野の現状等についての調査結果では、日本の高齢社会の加速や医療の高度化を背景として、長寿大国になった日本の介護サービス事業所における介護スタッフ採用の困難さがとても大きな問題となっている報告が出ています。

介護サービス事業所における従業員の過不足状況
出典:厚生労働省 介護分野の現状等について

上記問題点の解決策が外国人介護労働者になるのか?

慢性的な人手不足解消(採用困難の解消)の為の国の方策として、外国人介護労働者の受け入れを強化するという目的で
・経済連携協定に基づく外国人看護師、介護福祉士候補者の受入れ
・技能実習生の受入れ
・介護福祉士の国家資格を有する者を対象にした在留資格「介護」の創設
・即戦力として働ける外国人介護労働者を受け入れるための在留資格「特定技能」の創設
というように、4種類の受入れ方法を拡充してきました。

基本、他の業種では限られたビザでしか働く事が出来ません。しかし、外国人労働者(外国人介護人材)が日本で働けるためのビザはいくつもあります。介護の業界ではこのように4つの受入れ方法があるのはある意味特別的な扱いで、それほど介護業界における人手不足が他の業界より深刻化している事がうかがえます。

しかし、外国人労働者(外国人介護人材)が働けるビザを多くし、外国人労働者を沢山受け入れる体制を構築したからと言って、介護現場における労働条件等の不満は解消されるのでしょうか?

言葉を言い換えると、現在の日本における介護業界の労働環境・労働条件を外国人労働者(外国人介護人材)は日本人労働者と同様に不満に思わないのか?外国人労働者(外国人介護人材)が「日本で働きたい!」というモチベーション・来日動機につながるのか?という事です。

介護業界で日本人・外国人を問わず人材を確保していく為には、労働環境・労働条件を継続的に改善していく経営方針を持つことが介護業界の経営者には必要とされているでしょう。

外国人の介護人材と一緒に働くのは?

外国人の介護人材と一緒に働くのは?

■出典:介護職の8割「外国人介護士を受け入れても、人材不足は解消しない」。外国人介護士の受け入れに関する調査を、株式会社ウェルクスが実施|介護のお仕事研究所

介護職の人材紹介サービス「介護のお仕事」を展開する株式会社ウェルクス社が、同社のウェブサイト「介護のお仕事研究所」の読者や介護系のSNSの読者を対象に「外国人介護士の受け入れ」について調査した結果等をご紹介したいと思います。

現時点で外国人介護士(外国人介護労働者)と一緒に働いている方は全体の1/4で、外国人介護士(外国人介護労働者)と一緒に働く事に賛成の方は半数以上います。(あくまでの当該調査に協力してくださったSNS読者の人数からの回答です)

「外国人介護人材の入職に賛成」と回答した方は、なぜ賛成ですか?

・「様々な価値観が身近に感じられ視野が広がる気がするから」(20代・女性)
・「それなりの意欲のある方なら消極的賛成。基準を満たしていても
  人手は足りなすぎる」(30代・女性)
・「どんな職種にも外国人はいるのに、介護職が何故純血主義なのか、そちらの
  ほうがわからない」(40代・男性)
・「利用者にも外国人がいるから」(30代・男性)
・「以前勤めた特養に、フィリピンの方が二人いた。言葉の問題は多少あったが、
  ケアの細やかさは、日本人よりも上と感じた」(40代・男性)

「外国人介護人材の入職に反対」と回答した方は、なぜ反対ですか?

・「以前中国のかたと働いたが、入居者に対する言葉がキツかった。
   皆そうではないと思うが…」(20代・女性)
・「外国人介護士ではその地方の方言などが分からず、利用者とのコミュニケーション
  に不安がある。また、少なくとも外国人介護士を入職させる前に介護士の賃金を
  他業種なみに引き上げるのが先だと考えるから」(30代・男性)
・「まず日本人の賃金を上げることが先決」(40代・女性)
・「安価な労働力の確保をしようとしているが、介護は身体介護だけでなく家事援助も
  あるので生活様式が異なる外国人労働者は適していないと思う」(30代・男性)
・「訪問介護は利用者様やご家族の理解が困難だと思われるため」(50代・男性)

外国人介護人材を雇用することによる、職場や利用者さんのメリット・デメリット

コチラの内容も、介護職の人材紹介サービス「介護のお仕事」を展開する株式会社ウェルクス社が、同社のウェブサイト「介護のお仕事研究所」の読者や介護系のSNSの読者を対象に「外国人介護士の受け入れ」について調査した結果になります。

株式会社ウェルクス社の調査は介護の現場の生の声を知る事が出来る調査ですので、非常に有用な情報ですね。株式会社ウェルクス社様 有用な調査をありがとうございます。

出典:株式会社ウェルクスが実施 外国人介護士の受け入れに関する調査

外国人介護人材を雇用することで、職場や利用者さんにどのようなメリットがあると思いますか?

・「利用者さんとの日常会話の範囲が広がる。外国人介護士に分かりやすく教える
  ことで、業務改善点などに気づきやすい」(20代・女性)
・「元々中国残留孤児で日本に来られた方、配偶者として日本人と結婚し日本に
  来たものの、パートナーと別れる結果となった方など、外国語を理解している
  介護者が必要な場合は多々あります。その際、日本語しか話せない介護職よりも
  コミュニケーションが図れ、細かい要望なども確認することが可能です」
                               (30代・男性)
・「人数が増えることで、時間の余裕が生まれる」(30代・女性)
・「別角度、視点からのホスピタリティや、自立支援の切り口、考え方の幅が広がる」
                               (20代・男性)
・「特にフィリピン人の女性たちは明るく、年齢にかかわらず可愛らしい方が
 多いため、利用者の心を明るくしてくれることが多い。また、認知症の方なども
 英語でコミュニケーションをとろうとしたりして、脳の活性化にもつながることを
 感じている」(40代・女性)

外国人介護人材を雇用することで、職場や利用者さんにどのようなデメリットがあると思いますか?

・「利用者さんから差別的な発言・思い込みが出る可能性がある」(30代・女性)
・「OJTの長期化。言語学習の壁」(20代・男性)
・「外国人を下にみているスタッフや利用者と母国では優秀でハイクラスな外国人
  との軋轢」(40代・女性)
・「今の待遇のまま、受け入れたら反日思想を持たれる可能性が高い」(30代・男性)
・「言葉の壁や文化の違いなど、生活スタイルの違いで、職員間の連携が上手く行かず、
  結果的に事故、利用者の不利益につながるのではと思う」(40代・男性)

外国人介護人材のすそ野を広げる特定技能

特定技能ビザの外国人介護人材が従事することができる業務に関して、法務省および厚生労働省が決めてあります。具体的には以下の内容です。

身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつの介助等)のほか, これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)とし,訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としない。

また、日本人介護人材が通常することとなる関連業務(例:施設内のお知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)や安全衛生業務(安全衛生教育、福祉用具の使用方法及び点検業務等)も従事することができます。

また、技能実習ビザでは条件付きでしか実施する事が出来ない夜勤も可能ですので、技能実習生より即戦力的な介護人材となります。

ただし、訪問介護は業務範囲外の仕事になりますので注意してください(技能実習も訪問介護はNGです)

参考資料

介護業界で外国人労働者(外国人介護人材)を雇用するには多様な受入れ体制(在留資格:ビザ)があり、また、その受け入れ体制によって従事できる内容などの制限制約も色々とあるので、なんだか分かり難いなぁ~~と感じる方も多いでしょう。

ですので、厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れについてに関するサイトに掲載されています、外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック(日本語版)【印刷用】のリンクを下記に貼っておきますので、そちらから資料をダウンロードしてください。非常に分かりやすい内容の資料です。
     ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

>>>次回 ”教育・学習支援業における外国人雇用の傾向”についてご紹介いたします。

////////////////////////////////////////////////////////////
株式会社 エアーパス(AIRPASS Co.,Ltd.)
■1号特定技能外国人登録支援機関(19登-000586)
  SSW Support Organization(Immigration Reg.#19登-000586)
■有料職業紹介(22-ユ-300633)
  Manpower Placement Agency(Reg.#22-ユ-300633)
////////////////////////////////////////////////////////////