小売業で外国人労働者が活躍できる場は?

そもそも、小売業という業種で外国労働者を雇用しなければならない機会や場があるのか?という点からご紹介していきたいと思います。

小売業といいますと、お店・企業と一般消費者との取引になります。よって、正直言って、外国人労働者が活躍できる場が少ないのが現実です。ただ、全く無いという訳ではなく、「外国人労働者が必要な仕事」があれば、小売業でも外国人労働者を雇用して活躍してもらう事は可能です。

店頭での外国人買い物客への対応

例えば、外国人労働者による店頭販売接客は活躍できる可能性があります。外国人観光客が多く訪れる場で、外国人労働者による英語や中国語などの日本語以外の言語での接客対応が必要な場合です。例をあげるとすれば、秋葉原の家電量販店や京都などの観光地や駅周辺のお店などでしょう。私が住みます静岡県であれば、御殿場にアウトレットがありますが、アウトレットには多くの外国人観光客が訪れて買い物をしていきます。ですので、中国語を話せる外国人スタッフや英語が話せるスタッフが店頭販売対応をしています。

ただし、この場合の注意点は「その業務(店頭販売接客業務)のうち、どれくらいの割合で外国語を使用する業務(外国人買い物客への外国語での対応など)が占めるか?」です。
というのも、外国人労働者が店頭販売接客対応業務の仕事をするには、就労可能なビザ(技術・人文知識・国際業務というビザ)の取得が必要になります。

就労可能なビザ(技術・人文知識・国際業務というビザ)を取得するためには、年間でどれくらいの外国人のお客さんが来店して、外国人観光客等のお客さんが買い物をしていくのかを客観的に示す事が出来るデータなどの補足資料が無ければ出入国在留管理局では外国人労働者の店頭販売接客業務に対して就労可能なビザ(技術・人文知識・国際業務というビザ)を発行してくれないからです。

また、出入国在留管理局に十分な業務内容(就労内容)の説明を行わずに「通訳」などの内容で申請を出して就労可能なビザ(技術・人文知識・国際業務というビザ)を取得できていた場合、「通訳の仕事」ではなく店頭販売接客の仕事をしていた事が後で判明した場合は大きなペナルティが課されますので、店頭での外国人買い物客への対応に外国人労働者を雇用する場合は注意しましょう。

外国在住者への販売など

外国人の顧客との受注対応や外国語での通販サイトの構築

リアル店舗での小売りだけでなく、ネット通販小売りをしている企業・お店も多いと思います。この場合、外国人の顧客との受注対応や外国語での通販サイトの構築及びメンテナンスを自社で行う場合には外国人労働者による海外の顧客対応業務として活躍できる可能性があります。卸売業の輸出入業務と同じようなパターンですね。

アジアや欧米に住んでいる外国人が顧客になっている小売業の企業やお店もあると思います。そして、これら海外の顧客からの注文は英語や中国語などの外国語で送られてくるので、そのメールへの対応に外国語のスキルが必要になります。また、WEBサイトの外国語変換や通販サイトの外国語での作成など自社で行う場合には外国人労働者の持つ外国語対応スキルが必要になります。

しかし、このパターンも上記の店頭販売接客の場合と同様に、それらの業務が年間を通じてどれだけの時間や割合で外国語を使用する必要がある業務なのかが重要です。外国語でのメール対応も、google翻訳や他の翻訳ソフトを活用すれば外国語が話せない日本人でもある程度の対応は可能ですし、外国語版のWEBサイト構築も外注先に製作と保守管理を依頼する事も可能です。

よって、その業務に対して外国人労働者雇用の必要性がどれだけ高いのかを説明できることが重要でしょう。

製造小売業での可能性

店舗の奥で商品を作って、店頭で販売している場合です。例えばケーキ屋さんのパティシエとかですね。

ケーキを製造して店舗で販売をする場合、ケーキを作る職人は料理調理学校で必要な事を学び調理師の免許を持っている方が殆どでしょう。人によっては、半年~一年ぐらい本場フランスのパリで修業をして経験と実績を積んでからケーキ屋さんを開業する方もいます。(ケーキというとフランスパリしか連想できなくてすみません:笑)

ケーキ屋さんの場合、本場フランスはパリから熟練したケーキ職人を呼び寄せて、自社のケーキのラインナップを強化したり、「本場パリのケーキ職人が作る本格フランスケーキのお店」などのプロモーションで販売強化を図っていく経営戦略をとっていく場合、ケーキ屋という小売り(製造小売り)でも外国人労働者を雇用できる可能性はあると思います。

この場合、外国人労働者のビザ(在留資格)は「技能」というビザになります。

パティシエとしてフランス人労働者を雇用する場合の「技能」というビザは以下の基準をクリアしている必要があります。(あくまでも、本場パリのケーキ職人が作る本格フランスケーキのお店の場合です)
・フランスにおいて10年以上の実務経験を有している
・単なるケーキ職人(パティシエ)ではなく、フランスの独特な製法やケーキ製造方法を習得している
・当該、フランス独特のケーキ製法にはフランス人だからこそ有する感性や思想が重要な要素を占めており、日本人では得る事が出来ない熟練された技能を有してる事
( 正式な条件ではなく、今回の説明用に私なりに多少デフォルメした表現方法で説明している事をご了承ください)

また、「熟練された」というのは、基準省令においては外国料理の調理師をはじめとし、10年以上の実務経験を求めます。ただし、ここで問題となるのがその当該フランス人労働者(パティシエ)の実務経験の立証です。

対応方法としては、下記の通りです。
・フランスでの実務経験先であるお店から在籍証明等の証明書類を発行してもらう事
・実技試験などを実施した上で、当該フランス人労働者(パティシエ)の技術力や感性、思想を確認する工程を経る事

ただし、「確実・必ず雇用できる在留資格が取れる」というモノではない事を理解した上で、自社の販売戦略に外国人労働者の活用(雇用)を組み込んだ人事戦略を検討する事をお勧めいたします。

>>>次回 ”宿泊業における外国人雇用の傾向”についてご紹介いたします。

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